小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ⑨

 

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ①

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ②

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ③

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ④

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ⑤

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ⑥

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ⑦

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ⑧

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ⑨

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ⑩

小説『中学生の日常 ~二年六組編~』 ⑪

 

 

 

 二年六組一同はスケッチブックに、しきりに鉛筆や、色鉛筆を走らせている。

 今の美術の授業では、「漢字アート」というのをやっている。縦横十五センチの正方形の紙に、四方が九センチの、漢字の印刷したものを真ん中に貼る。その漢字の背景に、漢字の抽象的なイメージを描くのだ。例えば「炎」ならば、赤色をベースに、黄色系も多用し、時に黒を織り交ぜたりして、どこか危険なイメージを出したりするのが妥当なところだろう。

 生徒は、その漢字のデザインを何パターンかスケッチブックに描き、先生に提出しなくてはならない。その中でどれが一番良いかを、先生の意見を交えて決める。あるいは、全てに先生のダメだしをくらって、手直ししたり、新たな図案を創り直したりしなくてはならない。

 

 そんな作業を、生徒たちは大いに喋りながら進めている。席を立って遠くの席まで出向いて、仲間と話す女子がいる。鬼ごっこをする男子がいる。そういうサボっている人たちに限って、図案が既に完成していたりする。

 吉木もその一人だった。しかし、彼は遊んでいない。三田の席の横でしゃがんで、付きっきりになって、デザインにアドバイスしていた。

「お前の漢字は颯爽の『颯』だろ。『颯』っていうのは、『風』が『立つ』って書くじゃん。だから、こんな感じで・・・」

 

 吉木は自分の鉛筆を動かし、三田のスケッチブックに、まさに風が立つような絵を、見る見るうちに描いていった。

 

「はあ~、お前ってすげえな。」

 三田が感嘆の声を上げた。

 

「まあこんなもんよ。」

 吉木が鉛筆を置いた。

「いや~、マジサンキュー。これで先公に見せるわ。まあ間違えなく、合格だろう。」

「おう、見せて来い。これで、お前も自由になるから、あと三十分くらい遊べるだろ。」

 三田は、吉木が描いた図案だけしか描かれてないスケッチブックのページを上にして、井上教諭の前にできている列の、最後尾に並んだ。その列は合計で、十人ほど並んでいる。

 その様子を見届けた吉木は、さっきまでの中腰の状態から、おもむろに立ち上がった。

 吉木は顔を、キョロキョロと動かした。そして、窓側から二番目の机の列の最後尾にいる、男子十七番、真壁翔一の席に顔を向けた。

 ニヤリと笑った。そして、まつ毛の先にいる人物に向かって、歩き始めた。

「やあ、真壁っち。こんにちは。」

 吉木が爽やかな笑みを作って、真壁の肩を叩き、声をかけた。真壁はこれまで、頭をかかえながら、鉛筆を少しずつ動かして、デザインを描いていた。しかし、授業開始から二十分経ったが、一つも図案が出来ていなかった。

「・・・・・こんにちは。」

 訝しそうな顔で吉木を見て、真壁が言った。その小さな声は、相手の耳に入る前に落下する、あまり他人と話すのに慣れていない人の出す性質のモノだった。

「ヘイヘーイ! ダメだよ真壁っち、もっと大きな声で話さなきゃ。友達増えないよ?」

 笑みを絶やさずに言った。真壁は、面倒くさそうに顔をしかめた。

「おいおいおい、シケた顔すんなよ。スマイルスマイル! 人間は笑うことの出来る高等動物なんだから。だから笑っといた方がいいよ。」

「ああ、そうだね。」

 真壁はそう言って、吉木から目を離して、スケッチブックに視線を戻した。更に、置いていた鉛筆をまた手に取った。

「ああ、邪魔して悪かったな。」

 吉木は恐縮そうな顔になって、申し訳なさそうな声音で言った。その声に真壁は、声も出さず、手も動かさず、一切の反応を示さなかった。

「それじゃあ失敬・・・・・あれ? 隣の蓮池はいないの?」

「・・・・・そういえば、そうだね。何か軽くスルーしてたけど、あれ? 蓮池さんが授業サボるのは有り得ないよね。あれ、どこ行ったんだろ。」

 何度も隣の机に目をやりながら、やはり小さい声で、真壁が言った。

「なんか不思議だな。何でいないんだろ。まあいいや、それではまた会おう。」

 吉木は踵を返した。振り返った先には、村主や三田らがニヤニヤ笑って、吉木の方を見ていた。そこに歩いて行った。

「真壁君、どうだった?」

 武藤が吉木に聞いた。

「つまんねえ。」吉木は吐き捨てるように言った。

「当たり前だろ? だって真壁君なんだから。」小池が言った。

「いやでもさ、面白い奴なのかも知れないじゃん。一縷の希望に賭けたんだよ俺は。まあでも、これまで色んな奴から裏切られてるけどな。あーあ、陰キャラ巡りの旅。出席番号順で、残るはあと一人だけか。誰だっけ、三原健二か。はあ、平凡な名前だ。見込みなさそうだなあ。」

 

「まあ、わずかな希望を信じるしかないさ!」村主がヘラヘラしながら、年少男子向けアニメの主人公のように、大げさに言った。

 

「もう、無理な気がするな。あ、でも今回は少しだけ収穫があったぜ。真壁君は、蓮池がお好きらしい。」

 

「マジで?」三田はそう言ったあと、薄笑いを浮かべた。「自分で言ってたの?」

 

「いや、俺が見抜いた。まあでも、さっきのは誰にだってわかるさ。真壁君は、他人と会話する機会が少ないから、感情を隠すのが上手くないんだよ。」

「そっか、そうなんだ。へえ、あの真壁君がねえ。」

 

 そう言ったあと、村主は、真壁の方に目を向けた。顔に、薄笑いを浮かべている。

 

 真壁は依然として、猫背になって、スケッチブックに顔を近づけ、鉛筆を持ったままだった。しかし鉛筆を持った右手は、全く動いていない。額には、冷や汗が浮かんでいた。特に村主が真壁に目を向けてから、汗の量は増加した。

 

「それにしても、蓮池は本当にどうしたんだろ。だって、いないじゃん。普通に授業中だよ? 今。」武藤が言った。その顔には、笑みが消えていた。

 

「そうだよな。おーい、桜田。蓮池知らない?」

 吉木が、机を三つ挟んで後ろの席にいる、桜田に声をかけた。

「それがさ、体調悪いって言って、保健室にいるんだよね・・・。」

 彼女は心配そうに言った。そして席を立って、吉木らに近づいた。

「え、蓮池が体調悪いの?」驚いたような口ぶりで、小池が聞いた。嘘ではなさそうであった。「あの蓮池が?」

「あの、シャトルラン百二十回の蓮池が?」三田が言った。

 

「次期女子バスケ部主将の蓮池が?」村主が言った。

「中学校に入って、当たり前のように皆勤賞のあの蓮池が?」武藤が言った。「それって、本当?」

「悪そうだったけど・・・・・何か変なんだよねえ。」桜田が言った。

 

「どういうこと?」吉木が問うた。

「私とチサトは、プール終わったあとに一緒に着替えてたんだよ。それで色々話してて、まあ会話の内容はあんまり言いたくないんだけど、で、着替え終わって、二人一緒に更衣室を出たわけさ。そしたら出たあとすぐに、チサトが『アキ、ごめん。ちょっと気分悪くなったから、保健室行くね。』って。そう言ったあとに、なんだか全力疾走で私の許を去ったわけなんだよ。私じゃ、とても追いつけなかったから、追えなかった。それでチサトの走る姿をそのまま見てたんだけど、チサトね、保健室に入るためにどっかで右に曲がるって思って私は見てたんだけど、そうしないどころか、左に曲がったんだよね。一階で左に曲がっても、昇降口しかないじゃない? おかしいな、って考えてたら、もしや、チサトは昇降口に行ったんじゃないかって。つまり、校庭に出て外行ったんじゃないかって。そう、あの走る速さは、体調悪い人が出せるものじゃなかったもん。保健室に用は無いはず。校庭見に行ってもいなかったし、三階上がって上から校庭見渡しても、チサトいなかったから、どこかに隠れてるか、それとも学校の外に行ったのか。わかんない。でも心配。」

 桜田は、早口で一気にまくしたてた。

「蓮池の、その時の顔色とか、どうだった? 覚えてない?」吉木が聞いた。

 

「いや、ごめん、覚えてない。ていうか、わかんなかった。ほら、女子更衣室の前って、いつでも薄暗いでしょ。一緒に喋ってた時は、気にならなかったから、多分、顔色悪くなかったとおもうけど。」

「そっか。それは心配だな。桜田、ありがとう。」吉木が言った。

「いえいえ。」桜田はそう言って、後ろにある自分の席に戻って行った。

「なんか、蓮池がいないとわかったら、この教室の中が、少し寂しくなったように感じる。」武藤が言った。

「な。蓮池は別に口数多くないけど、存在感がある、というか、パフォーマンスで他人を惹きつけるというか。何て言えばいいいんだろう。」小池が頭を抱えた。

「クラスのアイドル、いや、アイドルっていうほど騒がしくない。気配りが出来る人なんだよな。」村主が言った。

「まあつまりは、六組に欠かせない存在ってことだろう。」吉木が言った。

 

「そういうことだな。」三田が言った。

「よし、じゃあ、そういうわけで、何して遊ぶ?」吉木が言った。

「絵しりとりしようぜ。」村主が提案した。絵しりとりとは、その名の通り、単語を絵で紙に描いて、表すのだ。このゲームは、下手な絵を馬鹿に出来たりと、笑いの要素が多く、盛り上がるのにはもってこいの遊戯なのだ。

 吉木たちが絵しりとりに興じてから、十分が経った。小池の描いた絵が理解不能なので、村主が頭を抱えて、悩んでいたところであった。

 前の引き戸が開いた。その音に反応して、一瞬、生徒の話し声が止んだ。

 

 

 扉から、樹村哲哉が教室に入ってきた。制服姿で、肩にプールバッグをかけている。Yシャツと制服ズボンに、吉木がつけた足跡は、もう残っていなかった。

 樹村が現れた時、静かな教室の数ヶ所から、舌を打つ音が上がった。空気が殺伐として、物騒な雰囲気を醸し出した。

 そんなムードの変化に、樹村は一切反応を見せず、最前列の机の前を歩いた。

 村主は、頭の上に乗せていた両手を、机の上に置いた。そして、歩いている樹村のことを、睨み付けた。

「ああ畜生。平和で幸せな時間を楽しんでたのにな。ガイジが来ちゃったよ。もう終わりかよ。ふざけんなマジで。」

 村主は、独り言のようにそう呟いた。独り言にしては声量が大きく、舌打ちの音も途絶えた教室に、十分響いた。

 樹村はその言葉にも反応を見せず、そのまま歩いて、自分の席に辿り着き、椅子に座った。そして、机の中からスケッチブックを取り出して、ページをめくり、白紙のページが出てきたところで手を止めた。筆箱から鉛筆を出し、通学カバンから二十四色色鉛筆を引っ張り出し、鉛筆を手に持って、スケッチブックに線を描きはじめた。

 興醒めた雰囲気が、教室を支配した。

 ある一人が言葉を発した。それが引き金となって、喋り声が一気に増え、また賑やかになった。

 

 樹村哲哉は、「災」という漢字をモチーフに、抽象的デザインを創っていた。しかし、スケッチブックに線を描きはじめたのは良いが、曲線をやたら滅多に交わらせたり、ギザギザの線をただ何本も書くだけだったりと、あまりに抽象的過ぎるのか、それとも単にイメージが出来ていないだけなのか、樹村の描いた図案からは、どう見たとしても「災」を連想することは不可能であった。

 

 案の定、樹村は作業開始から五分ほど過ぎたあと、手が止まった。真壁翔一のように、頭を抱えて、たまに手を動かすくらいになった。

 

 そんな樹村の机の前に、吉木が現れた。

 

「おやおや、すぐに手が止まっちゃったね。何で? 思い浮かばないの? ふーん、才能ないんだね。運動も出来ないし、泳げないし、勉強ですらもテストで俺に勝てたことないし、終いには芸術関係も駄目と来たか。いよいよ生きる価値がないねシンショウ君は。」

 

 吉木が、唇を少し前に突き出しながら言った。

 

 それを聞いた樹村は、やはり黙っていた。しかし、眉毛が時々ピクリと動いていたので、無反応というわけではなかった。

 

「もう、ガイジさ~ん。他人に何か言われたら、言葉を返すのが常識でしょうが。ちゃんと気を付けて下さい。

 

 はい、それじゃあ、そんな当たり前のことすら出来ない猿並の低知能であるガイジちゃんのために、練習問題を作ってあげました。俺が質問をするので、ガイジはそれに答えて下さい。それじゃあ、行くよ。第一問、ガイジは佐藤幸穂が好きなんですか? はい答えて下さい。十秒以内に。答えられなかったら、ガイジがプールで、佐藤の体をオカズにしてオナニーをしたという噂を、学年中に広めます。さあ答えて下さい。十、九、八、七、ろ」

 

「好きじゃない。」樹村が答えた。

 

「ああ、そうなの? まあ別に興味ないんだからいいんだけど。それにシンショウが質問に答えても答えなくても、プールのオナニー事件は噂に流すんだけどね。だって、事実だもん。」

 

 吉木は、薄笑いを浮かべて言った。

「だからそんなことやってないって。」眉間にシワを寄せた顔を、吉木の方に向けて言った。

 

「ふーん、まあいいやそれは。練習問題は、これで終了。でだ、ガイジ、そのデザインは一体何? 曲線絡めたり、ギザギザの線を書きまくったり。『災』じゃないじゃん。当ててやろうか。『災』の抽象的表現が全然思いつかないから、とりあえず適当にアートっぽいのを描いてみようっていう魂胆だろ。」

 

「・・・・・少し違う。」

「まあどっか違っても、お前が芸術の才能すら無いってのは確定だろ。お前は、神にすら嫌われてるんだな。」

 

「・・・それを言わないでよ、一番気にしてるところなんだから。」

樹村は、少々笑いながら言った。

 

「うん、同情できないから気にしてるかもわからなかった。ごめんなクソガイジ。お前は、テニスもクソみたいなレベルだもんな。下手過ぎだもんな。そりゃもう、自分を呪いたくもなるわ。さあそんなガイジ君に言います。テニス部をさっさと辞めろ。同学年がお前を嫌ってるのはもちろん、先輩にも、後輩にも毛嫌いされてるんだよね。で、元々戦力にもならないでしょ。つまり、ガイジ君はテニス部のゴキブリみたいなもので、しかも普通のゴキブリさんなら殺虫剤で死んでくれるけど、ガイジの場合はよっぽどのことをしない限りくたばらないし、俺たちが殺したら罰せられるし。ゴキブリよりも性質が悪いんだよな。だから俺が殺してやりたいのはやまやまなんだけど、ここは平和的交渉といこうじゃないか。つまり、シンショウ、テニス部を自主退部してくれ。そうしたら俺は、お前を殺さなくて済むし、しかもガイジが消えることによって、テニス部は幸福に包まれるんだよ。一石二鳥じゃんか。これしか方法が思いつかん。さあ、顧問の高田先生に退部届を出してくるんだ。皆、最高に喜ぶよ。高田さんだって狂喜乱舞するにきまってるって。やっとお前は、他人のために役立つことが出来るんだ。この世に少しだけ、貢献することが出来るんだよ。」

 

 吉木はねっとりとした口調で、周りに聞こえないような小声で言った。

 

 樹村は、吉木をキッと睨み付けた。

「おや、何でそんな殺意を込めた視線を俺に向けちゃってんの? 気持ち悪いんですけど。・・・お前が、この世に最も大きく貢献出来る行為って知ってるか? それはね、自殺だよ。楽で良いよな。心臓を止めちまえば、脳を機能停止させちゃえばいいだけだもんな。お前はどう見ても神の失敗作だ。神は何にも言ってないけど、さっさと消えて欲しいな、って思ってるわけよ。お前がいても、周りが不快になるだけ。つまり、お前が死んだら、それだけ周りの人のストレスが消えるし、神様も不良品が消えてくれたって、ほっとするわけだよ。なあ、そう思わない? だからガイジ、さっさと死んでくれ。」

 

 吉木は歯を見せながら、嫌らしく笑った。

 樹村は、吉木の長いセリフを聞いていく内に、だんだん、顔が強張った。樹村は、左手で自分の左太ももを、強くつねった。

「俺の方はいいから、自分の存在意義については考えないの?」

 爆発しそうな気配を感じさせながら、樹村は静かに言った。

「お前よりは存在価値があると思う。」

 吉木は即答した。

 樹村は太ももをつねっている左手を離した。それを移動させ、自分の左耳の、耳たぶの付け根辺りに爪を立てた。そして爪をそこに、凄まじい力で押し立てた。爪は皮膚を突き破らんばかりに、深くめり込んだ。

「そうやって断言できる根拠が、どこにあるの?」

 樹村は震えた声で吉木に問うた。

「一目瞭然。お前と俺を比べたら、普通わかる。え、じゃあそんなに疑うなら、皆にアンケート取ってみる?」

 ニヤニヤ笑いながら、吉木が言った。

 

「違うだろ。お前は神じゃないだろ。俺がこの世に要らないと神が思ってるなんて、わからないじゃないか。お前こそ必要ない存在だとも限らないだろ。つけあがってんじゃねえよ! どこに俺よりお前の方が世の中に役立ってる、っていう証拠があるんだよ。逆に俺は、何でもすぐ出来るっていう、器用さばっかひけらかせて、それ以上努力しないから、何もかも中の上止まりの、お前の方こそ、世の中に貢献出来てないと思うよ。自慢してるだけじゃん。目立ちたいだけじゃん。気色悪いよ君は。醜い、はっきり言って。バカじゃないの。」

 

 樹村が語気を強めて早口で言った。興奮して、顔が赤い。

 

 

 その言葉を聞いた吉木は、途端に表情を失った。

 顔色が、一気に白くなった。

 

 

「・・・・・お前、覚えとけよ。・・・シンショウなんて、殺すくらい余裕なんだからな。いや、今日はお前の精神を完全に殺してやる。昼休み、職員室に行けると思うなよ。」

 

 吉木はそう言って、村主ら四人がいる自分の机に戻った。そんな吉木に、四人は、笑いながら様々なことを問いかけた。しかし、それらを吉木は完全に無視して、机に寝たふりをするように伏せた。

 

 

 それから授業終了のチャイムまで、彼は一度も起き上がらなかった。

 

 樹村も机に伏せた。そして、授業終了のチャイムまで、二度と顔を、光に当てなかった。

 

 

 

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