☆即興ストーリー ペットボトル

 

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ペットボトルがあったから捨てようと思ったんだ。

 

中身は空だった。だから、捨てようと思った。

 

だが、、、、、、、捨てられなかったんだ。

 

その瞬間に、世界が破滅したんだ。

 

落とし穴のある地面を踏みしめたときのように、僕らの立っている地面が、前触れもなくいきなり下へ抜けたんだ。

とてつもない土埃を立てて、一気に底抜けた。

 

下には、とてつもなく大きい穴があった。とんでもないくらい深くて(永遠に底がない穴であることが、なぜか一目でわかった)、とっても暗い穴。

 

それまで地面の役割を果たしていた床は、無残にもボロボロに崩れて、その穴に落ちてしまった。

 

最初は僕は、地上に立っているかのような感覚が残っていたが、次の瞬間には重力を受けて降下していた。エレベーターが下に下がるときの、60倍くらいの強引さと速さと空気抵抗の威力を感じた。

 

ヒュン、と、落ちた。

 

なぜだろう・・・・・・。

 

その時僕は思ったんだ、、、、、

 

「なぜペットボトルを早く捨てておかなかったんだろう」、と。

 

僕の部屋にあるマンガや食器棚と共に、僕が捨てようとしたペットボトルが宙を舞って、下へ落ちていく。

 

思わず手を伸ばす。

 

しかし、すでに5メートルは距離があった。ペットボトルはそのまま、結婚指輪が落ちていくかのような情緒で、穴へ落ちて行った。

 

僕は思った。「何でだろう」

 

「何でいつも、僕は大切なものを手を伸ばして取ることができないんだろう!!!!!!!!!」

 

すると、体が上を向いた。空気抵抗だろうか。

 

さっき前触れもなく開いて僕の部屋を落とした、大きな穴がポッカリと開いていて、太陽に満ちた明るい曇り空が見えた。

 

たぶん、今日は雨が降らないだろう。

 

頭上の斜め上から、大きなものが迫ってくる気配がした。

 

「ドゴン」と、頭に衝撃があった。

 

衝撃の瞬間、僕の目は真っ暗になった。

 

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