気弱なまま生き抜くためのテロリズム

さとり世代による導火線

☆即興ストーリー 透明な花火

清らかな水が、ガラスのコップに、ポタリ、ポタリと一滴ずつ落ちる。

 

一滴落ちるたびに、ポタン、と音がする。

 

一滴落ちるたびに、コップに水が少しずつ溜まる。

 

一滴落ちるたびに、コップに溜まっている水がゆれる。

 

一滴落ちるたびに、世界中がしん、とする。

 

僕はコップを見るのをやめて、顔を正面に向ける。

 

コップの向こう側にいる、君を見つめる。

 

制服を着た君。肩までの黒髪に、ブレザーとミニスカート。少し斜め下にうつむいて、僕から視線をそらしている。教室に、君の姿はとても映える。

 

君の目は、いつもと同じ。まるで猫のように、自分の中を見つめている。

 

僕は、唇を震わせながら、「・・・好きだ」と言った。

 

水が一滴落ちる。世界がしん、とする。

 

君は、変わらず注意の半分を斜め下へ逸らしている。僕のことを見ようとしない。

 

「・・・・・・・・・ダメ」

 

君が言う。どうしてだろう。

 

「なんで?」

 

僕が訊く。ポタリ。また世界がしん、とした。

 

「・・・・・・・・・・。」

 

君が黙る。表情は変えない。相変わらず、斜め下を見つめたまま。

 

「どうして?」

 

「どうしてって・・・・・」君にもわからないのか。

 

ポタリ。世界がしん、とする。

 

・・・・・・・もうだめだ。

 

僕は水の入ったガラスのコップを、両手を組んで作ったハンマーを思い切り振り上げて、振り下げて、バリン!と割った。透明なガラスが透明な水と共にはじけ飛ぶ。とても澄んだ破片が飛び散った。僕の頬をかすめて、頬から血がタラリと流れた。

 

「なにしてんの!?」君が声を裏返して叫んだ。そのキンキンした声を鼓膜で受けても、僕は何も感じない。

 

僕はうつむいて、棒立ちになった。どうしたらいいのかわからない。飛び散ったガラスと水の花火模様を見つめていた。

 

どうしてだろう・・・・・・。どうしてだろう・・・・・・・。