気弱なまま生き抜くためのテロリズム

さとり世代による導火線

買い物症候群を発症し、中国武術で治そうとした3年間 ⑦ ~韓氏意拳の副産物~

 

目次

① ~してはいけないことをしてしまう人びと~

② ~したくないけれども、しなくてはならない?~

③ ~できない自分を、できる自分にしようとする~

④ ~「やりたくないけれど、やらなければ!」の地獄~

⑤ ~殴らないし、蹴らない武術『韓氏意拳』~

⑥ ~韓氏意拳の体感覚~

⑦ ~韓氏意拳の副産物~

最終章 ~欲望への粘り強さ~

 

 

 

 

 

 その日の午後、ライターの学校の授業を受ける予定が入っていたので、会場から電車で移動し、駅から歩いて教室に入った。授業がはじまる。

 その後も、ぼくの体に体温がこもっていた。ゆでだこがずっとつづいている状態で、韓氏意拳の余韻は引くどころか、そのままになっていた。

 

 暑くて苦しいが、席に座って授業をきく。

 ふつうの運動なら1時間後には体温も元に戻るはずだが、今回はあまりにも熱が引かない。韓氏意拳は関係なく、ふつうに風邪なんじゃないかと思った。

 

 体の熱に意識が侵され、授業の内容が頭に入らない。

 いつもは頭に神経が集中するのに、なかなか頭に意識が向かない。体の感覚に意識が向かい、講師の話にうまく集中できない。机の上に置いた紙に何も書くことなく、その日の授業を聴き終えた。 

 

 

 夜、家に帰ってしばらくマンガを読んだりしてくつろいでいると、だんだん体の熱が引いていった。

    しかし風邪の可能性は否めない。足の疲れもまだ引かないので、眠くなってきた23時くらいに布団に入って寝てしまった。ふだんは1時くらいに眠るので、ぼくにしては早い就寝だった。

 

 翌日、いつもより早く目がさめると、足の疲れも取れて、熱もなかった。咳も鼻水も出ていない。どうやら風邪ではないらしい。 

    以降、ぼくは韓氏意拳をほぼ毎日おこなった。

 

 

 韓氏意拳の講習から数日後の朝、スーパーへ買い物に行くため外へ出ると、12月に入ったばかりの空はくもっていて、風が頻繁に吹いていた。

 コートを羽織った体に冷たい風があたり、首元に風が入り込んだ。最近寒くなってきたなと感じる。

 

 マフラーをつけたいなと思った。

 また、昨日の夜レンタルビデオ店へ自転車を走らせていたとき、銀色の金属のブレーキを握る手が冷たかった。そろそろ手袋も必要だなと思った。

 

 買い物のあと、家へ帰ってタンスを開けると、すでに手袋もマフラーもあった。しかし、どれもこれもオシャレがわからなかったときに買ったもので、今の服装に合わない。また新しいものが必要だ。

 

 しかし、お金が・・・。

 

 これ以上服にお金を使ってもいいのだろうか・・・。

 当分我慢するべきなのでは・・・。

 買ったけどすぐに着なくなった何十着もの服たちが、タンスの中に眠っている。雑多な買い物欲・・・たくさんの犠牲・・・。

 

 これ以上、『ぼく』を傷つけるわけにはいかない。

 

 しかし・・・

 

 悩んだあげく、ぼくは再び外へ出て、電車に乗っていた。

 

 

 

kytekona.hatenablog.com